甘い唇

ヒバツナかもしれない。ちがうかもしれない。
とりあえずヒバツナのつもり。













馴染んだかおりがして、目を瞑った。


触れるだけのそれを幾度も繰り返す。やわらかで、あたたかい。近い体温が羞恥心をわずかに呼び起こした。まるで紅を引いたように赤い、うすい形よい唇の、はしをつい、とあげて彼が笑った。
ぺろり、となめられて、合図、うすく口を開ける。そこに差し入れられた舌の熱さに泣きそうになった。上顎をかすかに舐められて、ぞくり、背筋に何か走る。幾度も感じたことのある、この人に感じさせられた、快楽の火種が燻りはじめた。甘く噛まれた舌に、理性、思考回路を放棄した。






キス、口づけ、言葉を使わずにかきたかった。